空海ゆかりの地と自然信仰

前回の高野山からの続きです。

 

 

高野山に一泊した後、大阪にある星見妙見宮と磐船神社に行ってきました。

 

ざっくり言うと、一方の神社は星への信仰、もう一方は巨石に対する信仰があり、どちらも自然に対する信仰のある神社になります。

 

 

まず、星見妙見宮の方に行きました。

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こちらは平安時代空海が、佛眼仏母尊(人々の目を開き、仏として生まれ変わらせると言われる)の秘法を唱えたところ、天から北斗七星が降りた地だと言われています。

 

そして、北極星と北斗七星を神格化し、信仰している妙見信仰の地となっています。

 

空海は、知恵の仏と呼ばれる虚空蔵菩薩真言(呪文)を1日1万回 ✖ 100日 = 100万回唱えること(虚空蔵求聞持法)により、明星(金星、虚空蔵菩薩の化身)が口の中に飛び込み、最初の悟りを開きました。

 

つまり、星によってすでに悟りを開いた空海が、佛眼仏母尊の情報にアクセスすることで、北斗七星という星を通じて、人々を悟りに導こうとしている神社となります。

 

ちなみに、空海の名の由来は、虚空蔵求聞持法により悟りを開いたときに目の前に空と海が広がっていて、それら全てが一体となる体感を経験したことから名乗るようになったと言われています。

 

神社に入ってみると、どこか暖かい雰囲気がありました。

 

高野山の場合は、日本三大霊場の一つだけあり、どちらかというとあの世の世界みたいな少しヒヤリとする雰囲気が強かった印象でした。

 

それとは対照的に、この世の世界みたいな温かみがありました。

 

その雰囲気を感じながら進んでいくと、奥の方に北斗七星が降りたという滝がありました。

 

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登龍の滝と名付けられているのですが、空海も龍を使っていたといわれていて、これも空海との縁があるということなのかもしれません。

 

ちなみに、高野山金剛峯寺の屋根にも龍の彫刻が彫られていました。

 

 

ここは神社なのですが、神道だけでなく、仏教や道教陰陽道の神を祀っているだけあって、いろいろな信仰が組みあわさっています。

 

例えば、入り口から本殿まで、ところどころに北斗七星の一つ一つの星を擬人化した仏の像がありました。

 

これは、仏教である真言宗占星術と関係しています。

 

人には生まれた年の干支によって自分の運命を左右する守護星(本命星と呼ばれます)があり、それは北斗七星のいづれかの星に当てはめることができるという考えがあります。

 

更に、その星は一つ一つ仏としても信仰されています。

 

ちなみに、仏教なのになんで占いやってるの?、という疑問が生まれる人もいるかもしれません。

 

なぜかというと、昔の僧侶は知識階級であらゆる学問を学び、人々の悩みに答えていましたが、それらの学問によって答えられない悩みを解決するために占いを使ったからです。

 

詳しくは↓の記事に密教と占いの関係について書かれています。

密教と吉凶ー密教における占いの世界ー | 真言宗智山派 総本山智積院

 

本命星を知りたい方はこちら

当年星の早見表 [高野山真言宗 那須波切不動尊 金乗院]

 

本命星を知ったり、真言を唱えてみると、昔の人の気持ちも体験できるかもしれません。

 

話が長くなりましたが、こんな感じで神道以外の信仰も随所にありました。

 

 

ちなみに本殿には、中国の四神の一つである玄武も祀られていました。

 

青龍・白虎・朱雀・玄武という四つの神が東西南北を守るという考えがあり、北極星、北斗七星の方角である北を守るのが、玄武ということから信仰されています。

 

ほんとにいろいろな信仰が合わさっています。

 

 

本殿の裏には、巨石が御神体としてありましたが、実はその後ろにも巨石があり、御神体は2つありました。

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後ろの巨石の方が、どちらかというと力がある感じがしました。

 

密教的見方でみると、前にある巨石はダミーと捉えることもできます。

 

社務所のおじさんが教えてくれたのですが、言われなかったらたぶんほとんどの人が気づかないので、もしかしたら何かの導きもあったのかもしれません。

 

 

高野山からこの神社までは2~3時間かかるので遠いですが、あの世とこの世の雰囲気を味わい、空海の2つの側面をみるにはいい場所でした。

 

そして、北極星を信仰する妙見信仰だからこそ、神道・仏教・道教陰陽道といったいろいろな信仰が混ざった面白さがありました。

 

 

 

このあと、磐船神社に行きました。

 

星見妙見宮からは、タクシーで10分くらいで結構近かったです。

 

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こちらの神社は、本殿の裏にある天の磐船(あまのいわふね)と呼ばれる高さ12m、幅12mの巨石が御神体になっています。

 

これは、古代の有力豪族である物部氏氏神である饒速日命(にぎはやひのみこと)が、天から降臨する際に乗っていた乗り物だそうです。

 

実際見てみると、そういわれても不思議でないくらいの迫力でした。

 

そして、神仏習合の地ともなっていて、巨石には如来や菩薩、山岳修験で信仰される不動明王も彫られていて修験者の行場にもなっています。

 

 

この神社は、この巨石が名物ですが、それ以上に岩窟巡りで有名となっています。

 

 

かなり本格的な岩窟でした!

 

360度岩に囲まれ、両手を使いますし、岩を滑るように降りたり、落ちたら普通に怪我したり、道を間違える可能性もあるような場所でした。

 

危険な部分もありますが、アスレチックのような感じもあり、童心に戻った気分が味わえます。

 

全体としては、15分くらいで巡ることのできるアトラクションみたいな感じです。

 

 

ここを抜け、出口に到着すると、天照大御神が隠れた「天の岩戸」がありました。

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下にある2個の岩が、扉に見えるということのようです。

 

日本各地にそうした言い伝えのある場所があり、そのうちの一つみたいです。

 

 

見どころとしては以上ですが、岩窟巡り終了後に岩窟修行修了の御札がもらえました。

 

あと、岩窟巡りは2人以上同行してないと入れないので、もし行かれる方がいれば、注意してください。

 

 

高野山からここまで、あの世とこの世を巡る感じでしたし、神仏習合や自然に対する信仰の深い場も体験できました。

 

空海は唐に渡る前に、自然の中で修行をしており、自然との関りも深いです。

 

そういった当時の空海が置かれた環境に近いような経験もできたのではないかと思います。

 

高野山からは少し遠いですが、空海ゆかりの地を巡るコースとしては、盛り沢山に雰囲気を感じられます。

 

 

非常に濃い1泊2日でした!

 

では、また次のブログで  \^^/