このツボをあなたはどうやって売りますか?
この壺を1万円で売るとしたら、あなたはどうやって売りますか?
骨董的価値もない、ごくごく一般的な壺です。
(フリー素材でいい感じの写真がなかったので、この写真を貼りましたが、写真はごくごく一般的な壺のイメージとしてお考え下さい。)
ある起業家が、遊び企画として、誰もお金を払って買いたくなさそうな壺を売るプレゼンをしていました。
その営業トークが、見事で今回ブログのネタにとりあげることにしました。
本当に買うというのが100%とすると、そのプレゼンを聞いた後は50%くらい、それならもしかして買うのはありかもしれないと思えました。
本当には買わない気はしますが、少なくとも心を動かすトークだと思いましたし、普通の壺を売ることなんてできないと思っていましたが、そうやったらできるかもしれないと思いました。
マジか、やられた!って感じでした。
あなたは、どうやってこの壺を売りますか?
似たような話で、「このペンをオレに売ってみろ」という話があります。
『ウルフ・オブ・ウォールストリート』というレオナルド・ディカプリオ主演の映画内の話です。
主人公が、誰も買わないようなクズ株を人々に売り込むトークをバカでも習得できるようにシステム化し、それで株式仲介会社を作り、組織的にクズ株を売り、金儲けをするストーリーで実話が基になっています。
とにかく金・女・ドラッグの激やば映画です(笑)
主人公のモデルになっている人が言うには、実際は映画よりもっとやばかったらしいです(笑)
セールスの極意 - 「このペンをオレに売ってみろ」 | ウルフ・オブ・ウォールストリート | Netflix Japan - YouTube
話をペンを売る話に戻しますが、ペン自体を売るのではなく、客にとってペンを買う必要性、切迫感のある状況を生み出すことで、商品を売るというのをこのシーンで見せています。
冒頭の起業家も壺自体を売ろうとはしませんでした。
壺自体には、価値がないと言ったうえで、「みなさんには、特別な体験をして頂きたい」と提案します。
聞いている私たち仮想の客に対して、「何かを買う時には意味のあるものを買いますよね?」と確認します。
「意味のあるものを繰り返し買った結果、今のあなたの人生どうでしょう?
意味のあるものを買っているにも関わらず、不満めちゃくちゃ抱えてないですか?
多くの方は幸せじゃない人生を送っていないですか?」
そう問うたうえで「全く意味のないものに対して、一度お金を使いませんか?」という提案を出します。
その後、1万円という金額に対する不安を解消するトーク、自身が意味のないものを買って経験値を得たことで成功したという体験談、壺を買うことでそれを基にSNSで人々を惹きつける話題を提供できるという壺を使った1つの活用法の提案などを訴えかけます。
要は、聞いている人それぞれに何らかの望む未来がなんとなくあって、その状況の一部に壺という商品を投げ入れることをしていたわけです。
その上で、人々の買わない理由を先回りして一個、一個潰していき、さらに買うメリットを付け加えていっています。
起業家本人は「自分でもこんなスラスラとトークするなんてビックリ」みたいなことを言っていましたが、自然で流れるようなトークでした。
トークスキルだけでなく、ブランディングも使っているように思いました。
既にある程度世間的には成功者といえるブランディングもできていたので、成立するトークでもあったようにも見えました。
部屋に入ってから、プレゼンがスタートするのですが、部屋を開けて、入る動作から既に、見る人の視線を集めている感じもあり、それも上手かったです。
起業家にしても、ペンの話にしても商品ではなく、状況を使っていました。
大きな目で社会を見渡すと、戦争という状況を作って、武器を売るなど、何らかの状況を作るというのは共通している感じがします。
商品自体を売り込むのではなく、本人にとって必要な物であろうが、不必要な物であろうが、本人の未来の状況の一部に商品を投げ込むというのはセールスの基本なのだろうと実感する出来事でした。
商品自体を売らないという話をしたうえで聞きます。
あなたはこの壺をどうやって売りますか?